[書籍] 1冊で入門から初歩まで学習できる「強くなる!シャンチー入門」

2020/08/17書籍

象棋はまだまだ競技人口が少ないので、これから始めたい初心者の多くは書籍に頼らざるを得ません。

残念ながら日本語で書かれた象棋の本は少なく、簡単に手に入る書籍は「はじめての象棋」だけでした。「はじめての象棋」は良くできた入門向けの本ですが、駒の動かし方を覚えた人には物足りません。ステップアップのための本が長らく望まれていました。

1996年に将棋プロ棋士の所司七段による「シャンチー(中国将棋)入門」が河出書房新社から出版されていましたが残念ながら絶版。ついにAmazonではプレミア価格で売られる事態になってしまいました。

その「シャンチー(中国将棋)入門」を読みやすく改訂したのが、本書強くなる!シャンチー入門です。



目次

駒の動かし方などのルールに加えて、基本的な勝ち方(殺法・残局)、序盤の指し方(布局)、実戦譜までカバーしています。入門としては充分すぎる量だと思います。

まえがき
第1章 シャンチーのルール
第2章 基本の殺法
第3章 シャンチーの残局
第4章 シャンチーの布局
第5章 シャンチーの実戦譜
巻末ドリル 残局の復習問題
〔付録〕用語解説
あとがきにかえて
シャンチー豆知識


所感

本書は入門はもとより、上達に必要な基礎知識を学ぶことができる良書である。用語解説も充実している。3章以降はやや高度であり、読み通すにはそれなりの棋力が必要であろう。これには理由がある。

日本語で書かれたシャンチーの本は極めて少ないため、1冊の本にあれもこれも詰め込まざるを得ない。昭和のころの日本将棋の本も「入門から初段まで」などと堂々と書いてあって、初心者泣かせであった。最近は入門書も増えて、本当の初心者のための本もあるし、ステップアップするための本もある。象棋も競技人口が増えて書籍も増えるように願うばかりである。

沖縄県民としてはチュンジーの記述がもっと欲しかった。実際の状況は県外からはなかなか見えないかもしれないので仕方ない面はあるのだが。

シャンチーの用語を何語で記述するか

シャンチーは中国のゲームなのだから中国語読みで書くべきなのか、それとも漢文読み下しの伝統で日本語読みを許容すべきかは難しい問題だと思う。

本書では(ジャン)長殺(チャンシャー)などは中国語読み(普通話)なのだが、(さつ)屏風馬(へいふうば)などは日本語読みである。

ざっと見た限り、対局に必要な最低限の用語は中国語、その他は日本語なのだろうか。実際に本場中国で対局することを考えると、妥当な使い分けだろう。

しかし本書が最初に出版された1996年はともかく、現在ではYouTubeなどで中国語の解説を見ることもできる。中国語がわからない私のような人でも、用語の中国語発音がわかれば、手がかりになる。用語解説の項だけでも併記してあると良かった。

琉球象棋(チュンジー)の用語は福建系統の発音なので、普通話とも違うのがまたややこしいところで……)

書籍

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